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2025年の今、介護施設に問われる“食”の本質




2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に突入し、介護施設の需要はますます高まります。しかし、現場では慢性的な人手不足やコストカットの影響で、「とりあえず栄養があればいい」といった発想による、画一的で心のこもっていない食事提供がまかり通っている施設も少なくありません。

このような現状に対して、介護業界の専門家や医療関係者からは、*「食事の質を軽視する施設は、やがて信頼を失い淘汰される時代が来る」*という声が強まっています。


■ 食事の質が低いことで起こる“目に見えにくいリスク”

介護施設における食事は、単なる栄養補給ではありません。生きる意欲・認知機能・身体能力を左右する“介護の柱”です。ところが、次のようなケースが日常的に起こっています。


  • 味が単調で盛り付けに工夫がない → 利用者が食べ飽き、残飯が増加

  • ミキサー食がただの“茶色いペースト” → 認知症の方が「食べ物」と認識できず、食事拒否に

  • 地元の味や文化を無視した献立 → “食べる楽しみ”が消え、生活意欲が低下

こうした状態が続けば、低栄養、フレイル(虚弱)、うつ症状、介護度の悪化といった深刻な問題を引き起こし、最終的には医療費・介護負担の増大にもつながります。



■ 利用者家族も「見ている」。SNS・口コミ時代の影響

かつては施設内のことは“外には見えない”時代でしたが、今は違います。家族が面会時に写真を撮り、SNSで「うちの親、こんな食事しか出てない…」と発信するケースも。介護施設選びの際、食事の写真が“決め手”になることも増えているのです。

さらに、栄養士や調理スタッフがSNSで発信する施設も増え、良質な施設との差が可視化されつつあります。



■ 今こそ取り組むべき“3つの食事改善ポイント”

「手間がかかる」「コストが増える」として後回しにされがちな“食の質”。しかし、以下のような施策で、費用を抑えながらも質の向上は十分に可能です。

  1. 地元食材の一部導入で風味アップ&安心感 例:北海道なら“サバ”や“じゃがいも”など、地場の旬食材を週に1~2回導入

  2. 「懐かしの味」メニューの定期開催 毎月1回、昔の給食や家庭料理を再現(揚げパン、すいとん、五目ごはんなど)

  3. 厨房と介護スタッフの連携強化 利用者の嗜好や食欲の変化を共有し、献立に柔軟に反映

これらを実行することで、利用者の笑顔と残食率の改善が期待でき、結果的に業務効率や施設全体の雰囲気も良くなります。



■ 最後に──「食」は最も厳しく評価されるサービス

食事は、利用者本人と家族の双方が最も目にしやすく、評価しやすいサービスです。だからこそ、そこに手を抜くことは施設全体の評価を落とす行為にもなりかねません。

「うちは人手が足りないから」「予算が厳しいから」といった理由で放置すれば、今後ますます競争が激化する介護業界で生き残るのは難しいでしょう。

今こそ、“食事の質”に本気で向き合うタイミングです。

 
 
 

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